2
時に、2015年 某月某日
0時19分 伊豆沖を演習中の潜水艦「おやしお」が、海中を北上する正体不明の推進音を感知。
2時37分 対潜哨戒機が、同音源と思われる物体を確認。
4時14分 正体不明物体、日本領海を侵犯。
政府より自衛隊にたいして緊急警備行動が発令される。
6時32分 警告威嚇攻撃が開始されるも、目標進路を変更せず北上。
7時41分 ネルフの警戒機により『パターン青』が検出される。
8時30分 国連軍に甲種待機命令が発令される。
9時40分 政府の緊急閣議が開かれる。
10時30分 東海地方一部地域に、特別避難勧告が出される。
10時35分 国連軍に出動命令が発令される。
「目標、依然北上中」
ネルフの作戦司令室ではオペレーター達が分単位で状況を報告していた。
指揮台では国連軍の陸海空の指揮官達が次々と命令を発している。
海岸線へ数個の戦車大隊を配置し、予想される敵の進路には重装備の戦闘部隊を展開配置する。だが…。
「特科連隊の展開が、遅れています」
「施設中隊が、NN地雷の埋設場所を問い合わせてきています」
次々と入ってくる報告に指揮官達は苛立った。
「普通科連隊からも重迫中隊を抽出して、周辺に配置しろっ。なに?怪獣相手にナンバ中隊が、役に立つわけないだろっ!下がらせろっ」
指揮官の怒声に伊吹マヤは、首をすくめた。
「おお、こわっ」
青葉シゲルが、小声で茶化す。
「あわてふためいて、みっともないったらありゃしない」
日向マコトは、自衛隊幹部の醜態が恥ずかしかった。元々自衛官だったから同類と思われるのが嫌なのだ。
「それに比べて、うちの司令と副司令の落ち着きぶりはさすがですね」
「ああ、見ていて安心できるよ」
指揮権が降りてこない今、ゲンドウにはまだ仕事がない。状況を眺めながら、楽しそうにつぶやいた。
「過去はどうすることも出来ない。だが、未来は変えることが出来る」
それは独り言だった。だが冬月は、あえて答えた。
「しかし、使徒の出現は、死海文書の記述と一致した事実だぞ」
「だからと言って我々がシナリオ通りに演じる必要はない。舞台に上がってしまえば、芝居は役者のモノだ。予想される悲劇の回避…それが我々の目的だ」
「だが、そういう思惑すらも、シナリオの内かもしれんぞ。第一、委員会が許すと思うか?」
「…」
ゲンドウは黙したままニヤリと笑った。
12時30分 東海地方を中心として関東中部地方全域に、特別非常事態宣言が発令される。
新世紀エヴァンゲリオン ファンフィクション小説
「運命の転輪」 たくさん作
−第2回−
3
第三新東京市
人気のない駅。
人気のない街。
あたかも死に絶えたような街の光景の中で、少年は独りたたずんでいた。
特別非常事態宣言が発令され、街の機能は全て停止していた。
「ダメかぁ…『来い』というから来たのに」
公衆電話も使用不能。少年は受話器を戻して荷物を拾った。
「…待ち合わせは無理か」
写真には、待ち合わせている女性の姿が写っている。
大人の女性…おそらく20代後半だろう。メリハリのある肢体と扇情的なポーズ。思春期の少年には少しばかり刺激が強い。だが、キスマークやら『ココに注目』などと胸元に丸がしてあるのを見ると、ゴクッとつばを飲み込む前に、なんだこれ「変な女」などと思ってしまう。
ふと、少女の気配。瞬き一つで「気のせいか」と思いこむ。
「しょうがない。シェルターに行こう」
すると突然の衝撃波が少年の全身を叩いた。
炎熱と鼻を衝く硝煙の臭いがあたりを満たす。
「あうっ」
音源へと振り返ると丘の向こう側から巨大な怪物が姿を現した。
数機の攻撃VTOLが後退しながらも、銃砲撃を繰り返している。
数本の有線ミサイルが少年の体をかすめて怪物へと向かった。
攻撃VTOLが次々と撃墜され、大地にたたき落とされる。とどめとばかりに怪物はVTOLを踏みつけた。
その爆発に巻き込まれそうになる少年を、青い車が救った。
「ごめん!…おまたせ」
それは写真の女性であった。
用語解説
特 科…砲兵部隊のこと。
施設科…工兵部隊のこと。
重迫中隊…重迫撃砲中隊のこと。普通科連隊に一個中隊、存在している。
ナンバ中隊…ナンバー(No)中隊のこと。いわゆる「第00中隊」と番号の振られている部隊を指して言う。使徒を相手に携行火器(小銃や拳銃)が通用するはずがない。
臆面もなく、続きを書いてみました。
どんなもんでしょう?
Shinkyoの感想でございます
なんだか、このゲンドウ好きです(爆)
かっこええ、マジデ。
続きがきになります。
たくさんの作品の感想は掲示板にお願いします。
return back
next